マイグラント研究会のメンバーは、これまでにも多くの相談を受け、無事解決した事案も多くあります。
ここでは、その一部をご紹介します。
相談事例1−過労死
A県の日系人派遣労働者が、派遣先の工場で仕事中に、体の不調を訴え、心臓の病気で急死しました。
過労死が疑われたため、タイムカードなど労働時間に関する証拠を証拠保全の手続によって集めたところ、その労働者は死亡直前の1か月間に100時間もの残業をしていたことがわかりました。
母国の遺族の依頼を受けて、労働基準監督署にした労災の申請が認められ,現在,派遣先と派遣元の両方に損害賠償の支払いを求める裁判を係争中です。
相談事例2−労災事故
B県の外国人労働者(アフリカ出身)が、派遣先の工場で就労中に、コンクリート製品の下敷きになって重傷を負いました。幸い命に別状はありませんでしたが、派遣先も派遣元も労災を申請せず,それどころか労働者を解雇してしまいました。労働者は休業や後遺症の補償を受けられていません。
現在、この労働者は、改めて労働基準監督署に労災を申請中です。
相談事例3−残業代請求
C県の日系人労働者が、数年間にわたって不適切な計算方法によって残業代を支払われていました。
現在、適切な計算方法による残業代と付加金の支払いを求める裁判を係争中です。
相談事例4−不当解雇
D県の日系人派遣労働者らが、突然、派遣会社の担当者からクビを言い渡されました。ところが、クビにされる理由は何もありません。そこで、労働組合に相談し、弁護士の援助を受けて、解雇不当の労働審判を起こしました。
労働審判では、労働者全員について、解雇が不当であることが認められ、クビになって以降払われていなかった約半年分の賃金の支払いも認められました。
これらの労働者は、偽装請負によって派遣されており、派遣先の会社は、労働局の指導を受けたため、日系人労働者らのうち1名を直接雇用することになりました。
相談事例5−セクハラ
E県の中国人女性労働者が、会社の社長から度重なるセクハラを受けました。ところが、労働者が抵抗すると、社長は、この労働者をクビにしてしまいました。
弁護士の指導のもと、労働組合を通じて会社と交渉した結果、会社はセクハラの事実を認め、労働者が会社を退職する代わりに、会社は、この労働者に、セクハラの慰謝料と解決金を支払うことになりました。
相談事例6−技能実習生
F県の中国人技能実習生が、2年間,最低賃金を下回る賃金しか支払われていなかったばかりか,長時間の時間外労働をさせられていたにもかかわらず適切な割増賃金を支払われていませんでした。
この技能実習生は既に帰国しましたが,弁護士に依頼して,未払賃金の支払いを求める裁判を係争中です。