割増賃金
法律で定められた労働時間(労働時間の項目を参照)を超えて仕事をした場合には、その時間に応じた割増賃金を会社から支払ってもらうことができます。そのことは、オーバーステイの方や技能実習生の場合にもあてはまります。
割増賃金の額は、次のとおりです。
2010年4月1日から、時間外労働についての割増賃金の率が一部変更されました。それまでは、時間外労働(1日に8時間、週に40時間を超える労働)については、通常賃金の1.25倍の割増賃金が支払われることになっていました。2010年4月1日からは、さらに、一定の大企業では、月に60時間を超える時間外労働については、通常賃金の1.5倍の割増賃金が支払われることになりました。
くわしい計算方法については、難しい決まりごともありますので、マイグラント研究会までご相談ください。割増賃金の不払い
ところが、実際には、割増賃金が支払われていないケースがたくさん見られ、特に外国人労働者の場合には、それがひどいように思われます。
割増賃金が支払われていないケースの典型例は、法律で定められた労働時間を超えて働いても、全く賃金が支払われない「サービス残業」があります。他にも、割増賃金は支払われていても、まちがった計算方法によって不十分な割増賃金しか支払われていないケースや、通常賃金の計算方法をごまかして、本来支払わなければならない通常賃金より少ない額を支払っているケースもあります。
割増賃金の請求
法律で定められた割増賃金が支払われていない場合には、会社に対して、その支払いを請求することができます。賃金の項目で説明したとおり、未払いの割増賃金の時効も2年です。
請求する方法としては、最寄りの労働基準監督署や、会社や地域の労働組合に相談して、会社に是正を求める方法もあります。ただ、労働基準監督署や労働組合が熱心でない場合もあり、専門家に相談をする方法も考えられます。マイグラント研究会でも、割増賃金の請求についての相談をお受けしています。
会社が、すんなり割増賃金を支払う場合には問題はありませんが、そうでない場合には、裁判をしなければならない場合もあります。裁判をしたために、会社をクビになるのではないかとか、裁判には時間がかかるのではないかと心配される方もいらっしゃるでしょう。しかし、裁判をしたからといって、会社はその労働者をクビにすることはできませんし、今は、労働審判という比較的時間のかからない裁判の方法もあります。
また、裁判で割増賃金を請求する場合には、裁判所は、未払いの割増賃金と合わせて、それと同じ額の「付加金」を支払うよう命じる場合があります。