外国人技能実習制度
外国人技能実習制度(2010年7月以前は、外国人研修・技能実習制度と呼ばれていました。)は、外国人に日本で仕事を学んでもらうことを目的とする制度です。ところが、この制度が、外国人を単に安い労働力として使うために悪用されることが非常に多く、深刻な問題となっています。
技能実習生の保護
日本には、労働者を保護するための様々な法律があります。技能実習生も、公的な研修や実務作業を含まない研修を除いて、労働者として保護を受けます。
例えば、賃金について、会社は法令で定められた最低賃金額以上の賃金を支払う義務がありますし、技能実習生は残業をすれば、通常の賃金よりも高い割合で計算された残業代を請求することができます。また、会社が技能実習生に対して強制的に貯金をさせることは禁止されています。会社は、原則として労災保険や雇用保険に加入しなければなりません。さらに、会社は、やむを得ない理由がない限り、技能実習生を解雇することは許されません。
もっとも、技能実習生が、実習先を変更できないなど、弱い立場にあることをいいことに、最低賃金より低い賃金しか支払わない、残業代を支払わないなどの違法行為は後を絶ちません。また、母国からの出国にあたり、日本で裁判をしてはいけないなどの約束をさせられていたり、日本に来てからパスポートを取り上げられたりするなどの理由で、誰にも相談できないような場合も少なくありません。
解決方法
技能実習生も、上で見たように、普通の労働者と同じく、労働法制の保護を受けます。ですから、使用者の違法行為に対して、泣き寝入りする必要はありません。労働基準監督署や、労働審判や訴訟などの裁判所の制度を使って、救済を求めることが可能です。
そのためには、たとえば、会社であった出来事を具体的に日記に書き記したり、毎日の勤務時間や作業の内容を正確に記録するなど、証拠を残す工夫をしてみましょう。そのうえで、技能実習が終わって帰国するよりちょっと前に、マイグラント研究会に相談してみてください。